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「伺わせていただきます」の正しい表現方法

取引先やお客様のもとへ伺う際、「伺わせていただきます」という言葉で返答している方も多いのではないでしょうか。実はこの「伺わせていただきます」は二重敬語にあたり、言葉の使い方としてはマナー違反となります。では「伺わせていただきます」を使うことは避けた方が良いのでしょうか?この記事では「伺わせていただきます」の言葉について詳しく解説し、そのうえで状況に合わせて言い換えられる表現方法について紹介します。

「伺わせていただきます」は二重敬語

ビジネスシーンでは使うことの多い「伺わせていただきます」という言葉。実はこの表現は二重敬語となり言葉の使い方としてはマナー違反なのです。相手に対して敬意を払うために無意識に敬語を重ねて使ってしまい、最終的によくわからない日本語になってしまいますが、まさに「伺わせていただきます」も同じ理由で誤った使い方となります。

二重敬語とは

二重敬語とは、同じ種類の敬語を二重に使った言葉のことを指します。具体的にどういった敬語の種類があるのかについて見ていきましょう。


5種類3種類尊敬語「いらっしゃる・おっしゃる」型尊敬語謙譲語Ⅰ「伺う・申し上げる」型謙譲語謙譲語Ⅱ(丁寧語)「参る・申す」型丁寧語「です・ます」型丁寧語美化語「お酒・お料理」型

尊敬語(「いらっしゃる・おっしゃる」型)相手側または第三者の行為・ものごと・状態などについてその人物を立てて述べるもの謙譲語Ⅰ(「伺う・申し上げる」型)自分側から相手側または第三者に向かう行為・ものごとなどについて、その向かう先の人物を立てて述べるもの謙譲語Ⅱ(丁寧語)(「参る・申す」型)自分側の行為・ものごとなどを、話や文章の相手に対して丁重に述べるもの丁寧語(「です・ます」型)話や文章の相手に対して丁寧に述べるもの美化語(「お酒・お料理」型)ものごとを、美化して述べるもの
引用:文化庁【敬語の指針】より

このように、日本の言葉には5種類の敬語表現があり、同じ敬語表現を重ねて使うと二重敬語になるということです。上記の表で言うと「伺う」は「行く(訪ねる)」「聞く」「尋ねる」の謙譲語Ⅰに当てはまると考えられます。また「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語にあたるため、ひとつの言葉に謙譲語が2種類入っていることが理解できます。そのため二重敬語となるのです。

「伺わせていただく」は定着している

しかしながら「伺わせていただく」という言葉は日常的に使うことの多い言葉であり、多くの人が使用しているという認識があることからすでに定着した日本語として使用しても問題ないとされています。というのも、文化庁の見解としてWebサイトから閲覧できる【敬語の指針】によると、謙譲語の「伺う」と「いたします」を2つ使用した「お伺いいたします」は習慣として定着している二重敬語の例として記載されています。マナー違反の言葉ではあるものの、習慣化し多くの人が認知しているために、使っても問題のない言葉として許容されていることを知っておくと良いでしょう。

「させていただく」は正しい表現?

「伺う」とは別に「させていただく」についても、文化庁の【敬語の指針】では以下のように記しています。

基本的に自分側が行うことを相手側または第三者の許可を受けて行い、そのことで恩恵を受けるという事実や気持ちのある場合に使われる
引用:文化庁【敬語の指針】より

このように、敬語としてはふさわしくないものの、自分側が行うことを相手側や第三者の許可を受けて行い、その行為によって恩恵を受けるという事実が気持ちがある場合は使うことがあると明記しています。重要なのは、使える言葉ではあるものの、日本語としてはマナー違反であるということです。

「伺わせていただきます」をより伝えやすくする方法

取引先やお客様などの相手に対して失礼な印象にならないよう、正しい日本語を使いたい場合はどういった表現方法があるのでしょうか。マナー違反になってしまうことを知ると、できることなら正しい表現方法を知りたいもの。ここでは正しい日本語を使いたい方のために「伺わせていただきます」の状況に合わせた使い方について解説します。

「行く」場合

「伺う」の意味が「行く」の謙譲語Ⅰとして使う場合はこういった表現で使うのが好ましいです。

○月日の○時ごろに御社へ伺います

「伺わせていただきます」よりもシンプルにまとまっており、そのうえしっかりと丁寧な言葉に直っているため受取手にとっても伝わりやすい言葉に変わっていることがわかります。

「行ってもいいですか」の場合

謙譲語Ⅰ「尋ねる」を使う場合の「伺う」では以下の表現が好ましいと考えられます。

もし●●様の都合がよろしければ、明日の○時頃御社へ伺ってもよろしいでしょうか?

「行ってもいいですか」を「伺ってもよろしいでしょうか?」へと変えています。「よろしければ」を使い相手への立場を思いやるとともに行っても良いか許可を求める表現にしています。

「行きたいです」の場合

相手に電話などを用いて「明日の11時頃に行きたい」ことを伝える場合は以下の表現が好ましいと考えられます。

差し支えなければ明日の11時ごろに伺いたいのですが●●様のご都合はいかがでしょうか?

または

こちらの都合で大変申し訳ございませんが、明日の11時ごろに伺いたく存じます。●●様のご都合はいかがでしょうか?

といった言い方で伝えましょう。前者であれば「差し支えなければ」を用いることで、”相手のスケジュールに問題がなければ”というニュアンスをもって伝えることができます。後者の場合は相手のスケジュールを聞く前に”こちらの都合”を先に伝え、そのうえで申し訳ないことを伝えています。後者は急ぎの場合に使うことが多いため、状況によって言い回しを変えることでその場にとってふさわしい丁寧な言い方で伝えられます。

「行きました」の場合

謙譲語Ⅰの「伺う」に変えることで自分を謙り取引先に敬意を払った言い方で伝えられるようになります。

昨日の10頃に○○会社へ伺いました

同様に上司へ「先週出張で京都へ行った」ことを伝える場合もこのような言い方で伝えることができます。

先週出張で京都へ参りました

自分の行為である「行きました」を謙譲語Ⅱである「参りました」へと変えて伝えることもできます。「行きました」のまま伝えると、直接的な言葉であるため距離があまりに近すぎ、上司に対して丁寧な印象を与えない言い方となってしまいます。謙譲語Ⅱは自分の行為やものごとなどについて、話や文章の相手に対して丁寧に述べたものを指します。自分を謙って相手に丁寧な印象を与えるために言い換える場合は謙譲語Ⅱを用いりましょう。

「行けません」の場合

取引先やお客様から会食などに誘われたものの、自分の都合によって出向くことができない場合はこのような言い方を使います。

この度はお誘いくださり誠にありがとうございます。あいにくその日は出張のため京都に出掛けており伺うことができません。大変申し訳ございません。次回はぜひご一緒できることを心より楽しみにしております

「行く」の謙譲語Ⅰである「伺う」を使い、「行けません」を「伺うことができません」に変えて伝えています。「伺うことができません」は直接的な言い方になるため、少し角が立つような印象を与えてしまいますから「伺うことが難しい状況です」などに変えても問題ありません。「伺うことが難しい状況です」に言い換えることで相手の誘いをやわらかい印象で断るため、相手に対しての配慮もうかがえます。

「伺います」の類語

「伺います」を別の言葉に言い換えるとどのような言葉があるのでしょうか。できることなら正しい日本語を学び正しい日本語でビジネスシーンを乗り越えたいものです。ここでは「伺います」の類語について解説します。

お聞きする使用例:●●様にお聞きしたいことがあるのですが先日のミーティングについてお話しをお聞きしてよろしいでしょうか? など
意味:「聞く」に接頭語の「お」を付けた謙譲語です。「伺う」と意味がほぼ同じであるため、「聞く」ことをしっかりと伝えたい場合は「お聞きする」を使いましょう。

承る使用例:○○様のご要望は確かに承りました本日は●●がお客様のご意見を承りました など
意味:「聞く」「引き受ける」の謙譲語である「承る」を用いても問題ありません。相手の気持ちごと受け入れるといったニュアンスを含めているため、お客様に対して使うのがマストです。

お邪魔いたします使用例:それでは●月●日の11時ごろに○○様のご自宅へお邪魔いたしますお忙しいところお時間をいただきありがとうございました。お邪魔いたしました など
意味:「お邪魔いたします」や「お邪魔します」は相手の家に訪問することを指す場合や訪問時から帰る挨拶などに使用します。「伺います」よりも改まった印象が薄いため、近しい距離のお客様に使うことが多いです。高等のみならずメールで使用することもあります。

拝聴する使用例:機会がありましたら●●様のご高説を拝聴したく存じますこの度は企業製品の見直しについて有力なお話しを●●様から拝聴でき大変感謝申し上げます など
意味:「拝聴」とは「聞く」の謙譲語にあたります。「伺います」のように頻繁に出てくる言葉ではなく、ビジネスシーンにおけるメールや手紙などのツールで見かけることの多い言葉になります。かなり硬い表現であるため、専門家の知見を伺った際などに使います。

*参上する使用例:本来であれば我々の方から参上しお願い申し上げるべきところでした当部署の●●が参上の祈りにご高見をお伝え戴けますと幸いです など
意味:「参上する」はお客様や目上の人のところへ「行く」ことを伝える際の言葉であり謙譲語になります。やや堅苦しく古めかしい言葉であるため、日常生活において見聞きすることはほとんどない方も多いです。口頭で使うよりもメールや手紙などで使うことが多く、年齢がかなり上のお客様や専門的な知見を伺う、伺った場合に使用します。

「聞く」の謙譲語を用いることで言い換えることが可能であることが理解できたかと思います。「伺う」にはいくつかの意味を持っているため、「聞く」や「尋ねる」意味を持つ言葉の謙譲語を使ったり、「行く」の謙譲語Ⅱである「参る」などを使ったりすることで、正しい日本語が使えるようになりますから、この機会に謙譲語も合わせてマスターすると良いでしょう。

「伺います」の英語表現

さまざまな状況の「伺います」を英語表現で伝えたい場合は以下のような言葉にすることで海外の取引先、お客様に使えるようになります。

will visit(伺います)I will ask you two questions(2つ伺います)
I will go there(私はそちらに伺います)
I’ll call on you on Sunday(日曜にお伺いします)
I’ll call again later on(後刻また伺います)
I shall call on you later on.(のちほど伺います)
I shall call on you without fail(ぜひ伺います)
I shall call on you shortly(近いうちに伺います)
May I take your order?(お伺いします)
I will be with you in a minute(ただいまお伺いします)

「伺います」の使い方を正しく覚えてスマートな言い回しを

「伺わせていただきます」は二重敬語ではあるものの、多くの人に認知されている言葉であることから見聞きする機会が多い言葉のひとつです。謙譲語を2つ重ねて丁寧な言葉に丁寧な言葉を重ねているのでやや伝わりにくい印象を与えてしまいます。この記事を通じて日本語や敬語の意味を知り、どういった言い回しをすれば正しい日本語でありながらもシンプル且つ丁寧な言葉で伝えられるのかを押さえましょう。そうすることで日本語の使い方にも自信が付き、ビジネスシーンにおいても「丁寧な日本語が使える社会人」として心強い社員として活躍できるようになりますよ。